建設業許可の決算変更届とは? 毎年必要な事業年度終了報告の注意点

建設業許可を取得した後に、毎年必要になる手続きがあります。

それが、いわゆる「決算変更届」です。埼玉県では「事業年度終了報告」と呼ばれることもあります。

建設業許可は、取得して終わりではありません。

許可を受けた後も、毎年の決算内容や工事実績を許可行政庁に報告する必要があり、この手続きを忘れてしまうと、更新申請や業種追加申請のときに手続きが進まなくなることがあります。

この記事では、埼玉県・東京都で建設業許可を受けている事業者を前提に、決算変更届の内容、提出期限、必要書類、提出しない場合の注意点について解説します。

決算変更届とは

決算変更届とは、建設業許可を受けた事業者が、毎事業年度終了後に、その事業年度の工事実績や財務状況を報告する手続きです。

会社であれば、決算が終わるたびに、その年度の内容を建設業用の様式にまとめて提出します。

個人事業主の場合も、毎年の確定申告後に、事業年度終了報告を行う必要があります。

この届出は、税務署に提出する決算書や確定申告書とは別の手続きです。

税務申告をしているから、建設業許可の決算変更届も終わっている、というわけではありません。

建設業許可業者として、許可行政庁に対して別途提出する必要があります。

決算変更届は毎年提出が必要です

決算変更届は、建設業許可の有効期間中、毎年提出する必要があります。

建設業許可の有効期間は5年間です。

そのため、更新までの間に、通常は5期分の決算変更届を提出することになります。

「更新のときにまとめて出せばよい」と考えてしまう方もいますが、本来は毎年提出する手続きです。

提出期限は、事業年度終了後4か月以内です。

たとえば、3月31日決算の法人であれば、原則として7月31日までに決算変更届を提出する必要があります。

税務申告の期限は、通常、決算日から2か月以内です。

その後、建設業用の財務諸表や工事経歴書などを作成し、決算終了後4か月以内に提出する流れになります。

決算変更届で提出する主な書類

決算変更届では、その事業年度の工事実績や財務内容を確認するための書類を提出します。

主な書類としては、次のようなものがあります。

  • 変更届出書または事業年度終了報告書の表紙
  • 工事経歴書
  • 直前3年の各事業年度における工事施工金額
  • 財務諸表
  • 事業報告書
  • 納税証明書

法人の場合は、貸借対照表、損益計算書、完成工事原価報告書、株主資本等変動計算書、注記表などを建設業用の様式で作成します。

個人事業主の場合も、貸借対照表や損益計算書など、個人用の建設業財務諸表を作成します。

また、株式会社の場合には事業報告書が必要になります。

納税証明書については、知事許可の場合、都道府県税に関する証明書を取得して添付します。

税務申告書をそのまま提出するだけでは足りません。

建設業許可用の様式に合わせて、財務諸表や工事経歴書を作成する必要があります。

工事経歴書が重要です

決算変更届の中でも、特に重要なのが工事経歴書です。

工事経歴書には、その事業年度に施工した建設工事について、注文者、工事名、工事場所、請負代金、配置技術者、工期などを記載します。

この工事経歴書は、単なる実績一覧ではありません。

建設業許可業者として、どの業種で、どのような工事を施工していたのかを示す大切な書類です。

後日、更新申請、業種追加申請、経営事項審査、技術者の実務経験確認などで、過去の工事実績を確認する際に関係してくることがあります。

そのため、工事経歴書を適当に作成してしまうと、後の手続きで困ることがあります。

たとえば、工事名だけでは工事内容がわからない、許可業種と工事内容が合っていない、配置技術者の記載が不十分、請負金額の記載が実態と合っていない、ということがあると注意が必要です。

決算変更届は毎年の報告ですが、将来の手続きにも影響する書類です。

決算変更届を提出していない場合の注意点

決算変更届を提出していない場合、すぐに許可が取り消されるというよりも、後の手続きで問題になることが多いです。

特に注意が必要なのが、更新申請です。

建設業許可は5年ごとに更新が必要ですが、過去の決算変更届が提出されていない場合、更新申請の前に未提出分を提出するよう求められることがあります。

5年間分をまとめて作成するとなると、かなりの手間がかかります。

過去の工事資料、決算書、納税証明書、工事経歴、配置技術者の情報などをさかのぼって確認する必要があります。

時間が経つほど、資料が見つかりにくくなります。

また、業種追加申請や経営事項審査を受ける場合にも、決算変更届の提出状況が問題になります。

公共工事を目指す場合、経営事項審査を受ける前提として、決算変更届がきちんと提出されていることが重要です。

税務申告後に早めに準備しましょう

決算変更届は、決算終了後4か月以内に提出する必要があります。

そのため、税務申告が終わったら、できるだけ早めに建設業許可用の決算変更届の準備を進めることが大切です。

税理士が作成する決算書と、建設業許可で提出する財務諸表は、形式が異なります。

建設業用の財務諸表では、完成工事高、兼業事業売上高、完成工事原価、兼業事業売上原価など、建設業許可特有の区分が必要になります。

建設業以外の売上がある会社では、建設業の売上と兼業事業の売上を分けて整理することも必要です。

また、工事経歴書を作るためには、その年度の工事台帳、請求書、契約書、注文書、入金記録などを確認することがあります。

毎年きちんと整理しておくと、更新や経審の際にもスムーズです。

決算変更届と変更届は別の手続きです

建設業許可取得後には、決算変更届以外にも、各種変更届が必要になることがあります。

たとえば、役員が変更になった場合、商号が変わった場合、本店所在地が変わった場合、営業所技術者が変更になった場合などです。

これらは、決算変更届とは別の手続きです。

決算変更届を毎年出していても、役員変更や営業所技術者変更の届出が漏れていれば、更新申請の際に問題になることがあります。

逆に、役員変更届を出していても、決算変更届を出したことにはなりません。

許可後の手続きは、毎年必要な決算変更届と、変更があったときに必要な各種変更届を分けて管理する必要があります。

決算変更届は許可維持の基本です

建設業許可を取得すると、対外的な信用が高まり、500万円以上の工事を請け負えるようになるなど、営業上のメリットがあります。

一方で、許可業者として毎年必要な手続きをきちんと行う責任もあります。

決算変更届は、その中でも基本となる手続きです。

提出期限を過ぎてしまった場合でも、放置せず、早めに未提出分を整理することが大切です。

特に、更新期限が近づいてから未提出に気づくと、短期間で複数年分を作成しなければならなくなることがあります。

許可を維持していくためには、毎年の決算変更届を忘れずに提出することが重要です。

まとめ

建設業許可を取得した後は、毎年決算期終了後4か月以内に、決算変更届を提出する必要があります。

決算変更届では、工事経歴書、直前3年の各事業年度における工事施工金額、建設業用の財務諸表、事業報告書、納税証明書などを提出します。

税務申告とは別の手続きであり、税務署に決算書を提出しているだけでは、建設業許可の決算変更届を提出したことにはなりません。

決算変更届を提出していないと、更新申請、業種追加申請、経営事項審査などで問題になることがあります。

建設業許可を維持するためには、毎年の事業年度終了後、早めに準備を進めることが大切です。

当事務所では、埼玉県・東京都を中心に、建設業許可の決算変更届、更新申請、業種追加申請、経営事項審査のご相談を承っています。

  • 「決算変更届を出していない年度がある」
  • 「更新前に未提出分を整理したい」
  • 「毎年の事業年度終了報告を依頼したい」
  • 「埼玉県で建設業許可を取得したい」
  • 「東京都で建設業許可を取得したい」

このような場合は、お気軽にご相談ください。

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