埼玉県の建設業許可手引きが令和8年4月版に改訂されました|資格証・通帳等の原本提示が廃止に

埼玉県の建設業許可申請・届出の手引きが、令和8年4月施行版として改訂されました。

建設業許可の申請では、許可要件そのものだけでなく、「どの書類を提出するのか」「原本提示が必要なのか」「写しで足りるのか」といった確認資料の取扱いも非常に重要です。

今回の改訂では、申請者にとって実務上かなり影響のある変更が含まれています。特に大きいのは、資格証、卒業証書、通帳の原本提示が廃止され、写しの提出のみでよい取扱いになったことです。これまで、資格証や卒業証書、預金通帳については、写しを提出するだけでなく、原本提示を求められる場面がありました。そのため、申請準備の段階で原本を探したり、申請時に原本を持参したりする必要がありました。

今回の改訂により、これらの原本提示に関する記載が削除され、写し提出を前提とした取扱いに改められています。

この記事では、令和8年4月施行版の埼玉県建設業許可申請・届出の手引きの主な改正点について、実務上の注意点を交えながら解説します。

資格証・卒業証書・通帳の原本提示が廃止されました

今回の改訂で一番わかりやすく、申請者にとって影響が大きいのが、原本提示の廃止です。

対象として挙げられているのは、主に次のような書類です。

  • 資格証
  • 卒業証書
  • 預金通帳

建設業許可では、営業所技術者等、いわゆる専任技術者の要件を確認するために、資格証や卒業証明書・卒業証書を使用することがあります。

また、工事実績の確認や入金確認のために、預金通帳の入金記録を確認することもあります。これまでは、これらの書類について「写しを提出し、原本も提示する」という取扱いが残っている場面がありました。しかし、令和8年4月改訂では、原本提示に係る記載が削除されています。

埼玉県の新旧対照表でも、「資格証、卒業証書及び通帳の原本提示を廃止し、写し提出のみで可とすることに伴う修正」と説明されています。

これは、申請者にとってかなり大きな負担軽減です。特に、資格証を現場で保管している場合、卒業証書が実家にある場合、古い通帳を探す必要がある場合など、原本の準備に時間がかかるケースは少なくありません。今後は、原則として写しの提出で対応することになりますので、申請準備は以前より進めやすくなると考えられます。

もっとも、写しでよいからといって、内容確認が緩くなったわけではありません。

写しの内容が不鮮明であったり、必要な情報が読み取れなかったりする場合には、補正や追加確認の対象になる可能性があります。

資格証であれば、氏名、資格名、登録番号、有効期限などが確認できることが重要です。

卒業証書や卒業証明書であれば、学校名、学科名、卒業年月などが確認できる必要があります。

通帳であれば、該当する入金記録、口座名義、入金日、入金額などが読み取れる状態で準備する必要があります。

「原本を持参しなくてよくなった」という点は大きな変更ですが、「資料をきちんと整える必要がある」という点は変わりません。

工事実績確認書類の表現も変更されています

今回の改訂では、工事実績を確認できる書類についても表現が修正されています。

一式工事の場合は、請負契約書の写しと、それに係る入金記録のある預金通帳の写しが示されています。

専門工事の場合は、契約書、請求書、注文書等で工事内容が明記されたものの写しと、それに係る入金記録のある預金通帳の写しが示されています。

以前の表現では、一式工事の場合は請負契約書原本など、原本提示を前提とする記載がありました。これが、今回の改訂で「写し」を前提とする表現に変わっています。

建設業許可申請では、経営業務の管理責任者等の経験確認や、営業所技術者等の実務経験確認の場面で、過去の工事実績資料が問題になることがあります。

特に、実務経験で申請する場合や、過去の許可状況だけでは工事実績を確認しにくい場合には、契約書、注文書、請求書、通帳の入金記録などを組み合わせて確認することがあります。

今回の改訂により、原本を持参する負担は減ります。

ただし、工事内容や入金の対応関係を確認できる資料を準備する必要がある点は変わりません。たとえば、請求書だけでは工事内容が不明確な場合があります。

「工事一式」「工事代金」などの記載だけでは、どの業種の工事なのか判断しにくいことがあります。その場合には、注文書、契約書、内訳書、見積書など、工事内容を補足できる資料が必要になることがあります。

実務経験や経営経験の確認では、「その期間に建設工事を請け負っていたこと」だけでなく、「どの種類の工事を行っていたのか」が重要です。

原本提示が廃止されたとしても、工事内容が確認できない資料では不十分になる可能性があることは従来通りです。

健康保険被保険者証の廃止に伴う修正

次に重要なのが、健康保険被保険者証の廃止に伴う修正です。

従来は、常勤性や社会保険加入状況の確認資料として、健康保険被保険者証の写しが使われることがありました。しかし、健康保険被保険者証が廃止されたことに伴い、手引き上の記載も見直されています。令和8年4月版では、資格確認書や資格情報のお知らせなど、新しい制度に対応した資料の記載がされています。

「以前は健康保険証の写しで出していたから、今回も同じでよい」と考えていると、資料の準備で止まってしまう可能性があります。

特に、常勤役員等や営業所技術者等の常勤性確認では、どの資料で常勤性を確認するかが重要になります。

法人であれば、健康保険・厚生年金保険の加入状況、標準報酬決定通知書、資格取得確認通知書、資格確認書など、状況に応じて確認資料を整理する必要があります。

個人事業主や国民健康保険組合に加入している場合も、提出できる資料がケースによって変わります。

建設業許可では、要件を満たしていることだけでなく、その要件を行政庁が確認できる資料として提示できるかが重要です。社会保険や常勤性の資料については、申請前に早めに確認しておくことをおすすめします。

国民健康保険組合の場合の確認資料も修正されています

建設業では、建設国保などの国民健康保険組合に加入している事業者も少なくありません。今回の改訂では、国民健康保険組合に加入している場合の確認資料についても見直しがされています。

令和8年4月版では、事業所名および保険組合名が明記されているものの写しとして、建設業に係る国民健康保険組合が発行した加入証明書、健康保険料の領収書等、資格確認書または資格情報のお知らせなどが挙げられています。

この点も、実務上はかなり大切です。

国民健康保険組合に加入している場合、単に本人の氏名が確認できるだけでは足りないことがあります。

事業所名や保険組合名が確認できるかどうかが問題になるため、どの資料を用意すればよいかを事前に確認する必要があります。特に、常勤役員等や営業所技術者等については、その営業所に常勤していることを確認する必要があります。健康保険関係の資料だけで足りる場合もあれば、別の資料と組み合わせて確認する場合もあります。

現在の加入状況に応じて、手引きに沿った資料を準備することが重要です。

行政書士法改正に伴う記載も修正されています

今回の新旧対照表では、行政書士法改正に伴う記載の修正も含まれています。手引きの「はじめに」の部分について、令和8年1月1日施行の行政書士法改正を踏まえ、行政書士が作成できる書類に関する記載が修正されています。

建設業許可申請は、官公署に提出する書類を作成する手続きです。そのため、報酬を得て業として申請書類を作成することができる者には制限があります。行政書士または行政書士法人でない者が、他人の依頼を受け、報酬を得て、業としてこれらの書類作成を行うことは原則としてできません。

建設業許可の申請を依頼する場合には、適法に業務を行える専門家に相談することが大切です。

申請書類の作成だけでなく、必要資料の整理、要件確認、補正対応なども含めて、建設業許可に詳しい行政書士に相談すると手続きが進めやすくなります。

登録基幹技能者講習の種目が追加されています

令和8年4月改訂では、国土交通大臣が認める登録基幹技能者講習の種目も追加されています。

新旧対照表では、表4-2において、次の種目が追加されています。

  • 登録道路等法面保護基幹技能者
  • 登録斜面防災基幹技能者
  • 登録石材施工基幹技能者

登録基幹技能者講習は、営業所技術者等や主任技術者などの要件確認に関係することがあります。

すべての申請者に関係する改正ではありませんが、該当する資格・講習を持つ方がいる場合には、許可業種との対応関係を確認しておくとよいでしょう。特に、資格や講習で営業所技術者等の要件を確認する場合には、どの業種に対応するのかを確認する必要があります。

「登録基幹技能者だから何でも使える」というわけではありません。許可を受けたい業種と、その資格・講習が対応しているかを個別に確認することが大切です。

工事実績確認が必要になる場面について文言が追加されています

工事実績を確認できる書類に関しては、原本提示廃止だけでなく、追加の注意書きもされています。

新旧対照表では、許可状況を確認できる資料がなく、許可期間に許可を受けていたことが確認できない場合には、工事実績が確認できる資料が必要であることが記載されています。

また、変更届出書、いわゆる決算報告で工事実績を確認できない場合には、工事実績が確認できる資料を求めることがあるとされています。

これは、実務上かなり重要です。

過去に建設業許可を受けていた会社での経験を証明する場合でも、許可状況や工事実績が確認できなければ、追加資料が必要になることがあります。「許可業者に勤めていたから大丈夫」とは限りません。

過去の許可番号、許可業種、許可期間、決算変更届の内容、工事経歴書の記載などを確認しながら、証明に使える資料を整理する必要があります。特に、経営業務の管理責任者等の経験や営業所技術者等の実務経験を証明する場面では、過去の資料が申請の可否を左右することがあります。

昔の資料は時間が経つほど集めにくくなります。申請を検討している場合には、早めに過去の契約書、請求書、通帳、決算書類、許可通知書などを確認しておくことをおすすめします。

事業承継・法人成りの場合の注意点も追加されています

今回の改訂では、事業承継に関する注意点も追加されています。

承継に関する手続きでは、承継予定日まで許可要件が途切れていないことが重要になります。

新旧対照表では、承継者、被承継者等、認可に関わるそれぞれの許可業者において、常勤役員等や営業所技術者等は、承継予定日まで引き続き常勤である必要があるとされています。

特に法人成りの場合は注意が必要です。個人事業主から法人へ移行する際、社会保険等の資格取得日と承継予定日の関係によっては、許可要件が一時的に途切れてしまう可能性があります。

建設業許可では、常勤役員等や営業所技術者等の要件が継続して満たされていることが重要です。

承継や法人成りを予定している場合には、日付の設定、社会保険の資格取得日、役員就任日、営業所技術者等の常勤性を事前に整理しておく必要があります。

事業承継や法人成りは、通常の新規申請や更新申請よりも、スケジュール管理が重要になります。「法人を設立してから考える」のではなく、法人設立前、承継予定日を決める前の段階で、建設業許可の要件が途切れないか確認しておくことをおすすめします。

問合せ先一覧も追加されています

建設業関係部署の問合せ先一覧も追加されています。建設業許可では、申請先、管轄、手続きの種類によって確認先が異なることがあります。

実際の申請では、手引きだけを見ても判断が難しい場面が少なくありません。特に、経営業務の管理責任者等の経験確認、営業所技術者等の実務経験確認、承継や法人成り、社会保険資料の整理などは、個別事情によって必要資料が変わることがあります。

手引きの改訂内容を確認することは大切ですが、自社のケースにそのまま当てはめられるかどうかは別問題です。

不安がある場合には、申請前に専門家へ相談した方がスムーズです。

まとめ

令和8年4月施行版の埼玉県建設業許可申請・届出の手引きでは、いくつかの重要な改訂が行われています。

特に大きいのは、資格証、卒業証書、通帳の原本提示が廃止され、写し提出のみでよい取扱いになったことです。

これにより、申請準備の負担は軽くなると考えられます。

一方で、写しでよくなったからといって、確認資料の重要性が下がったわけではありません。資格、学歴、工事実績、入金記録、常勤性、社会保険加入状況などを、行政庁が確認できる形で整理する必要があります。

また、健康保険被保険者証の廃止に伴う確認資料の見直し、国民健康保険組合の場合の資料、登録基幹技能者講習の追加、工事実績確認に関する注意書き、事業承継・法人成りに関する注意点なども含まれています。

建設業許可の申請では、手引きの改訂内容を踏まえたうえで、最新の取扱いに沿って準備を進めることが大切です。

当事務所では、埼玉県・東京都を中心に、建設業許可申請、更新、業種追加、決算変更届、事業承継・法人成りに関するご相談を承っています。

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このような場合は、お気軽にご相談ください。

 

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