東京都の建設業許可申請で常勤役員等を証明するには? 確認資料と注意点

東京都で建設業許可を新規申請する場合、重要な要件の一つに「常勤役員等」があります。

以前は「経営業務の管理責任者」と呼ばれることが多かった要件ですが、現在は「常勤役員等」という表現で整理されています。

建設業許可を取得するためには、会社の中に建設業の経営業務を管理できる人がいることが必要です。

ただし、単に代表取締役である、役員登記されている、長く建設業に関わっている、というだけでは足りません。

東京都の申請では、常勤役員等に該当することを、経験資料と常勤性資料によって確認する必要があります。

この記事では、東京都で建設業許可を申請する場合に、常勤役員等をどのように証明するのか、確認資料と注意点を解説します。

常勤役員等とは

常勤役員等とは、建設業の経営業務を適正に管理する立場の人をいいます。

法人の場合は、常勤の役員のうち一定の経験を有する人が対象になります。

個人事業主の場合は、本人または支配人について確認します。

建設業許可では、建設工事を請け負う会社に、建設業の経営経験を持ち、実際にその会社で常勤している人がいることが求められます。

そのため、常勤役員等については、大きく分けて次の2つを確認します。

  1. 建設業に関する経営経験があるか。
  2. 申請会社で常勤しているか。

このどちらか一方だけでは足りません。

建設業の経営経験があっても、申請会社に常勤していなければ要件を満たせません。

逆に、申請会社に常勤していても、必要な経営経験を証明できなければ常勤役員等にはなれません。

常勤役員等の経験を確認する資料

常勤役員等の要件では、過去に建設業の経営業務を管理していた経験があるかを確認します。

代表的なのは、建設業に関して5年以上、役員や個人事業主などとして経営業務の管理責任を担っていた経験です。

法人役員としての経験を使う場合には、その期間に役員であったことを確認するため、登記事項証明書や閉鎖事項証明書などが問題になります。

ただし、役員であったことだけでは足りません。

その会社が建設業を営んでいたことも確認する必要があります。

そのため、過去の建設業許可通知書、決算変更届、工事経歴書、請負契約書、注文書、請求書、入金資料などが必要になることがあります。

個人事業主としての経験を使う場合には、確定申告書、請求書、注文書、契約書、通帳の入金記録などにより、建設業を営んでいたことを確認します。

東京都で申請する場合には、どの期間を、どの資料で、どのように証明するかを事前に整理しておくことが重要です。

常勤性を確認する資料

常勤役員等は、申請会社に常勤している必要があります。

常勤とは、休日その他勤務を要しない日を除き、一定の計画のもとに毎日所定の時間中、その会社で勤務している状態をいいます。

法人の代表取締役や取締役であっても、実際には別会社で常勤している場合や、非常勤役員である場合には注意が必要です。

常勤性の確認では、社会保険関係資料や役員報酬に関する資料などを確認します。

たとえば、健康保険・厚生年金保険の資格取得確認通知書、標準報酬決定通知書、資格確認書、資格情報のお知らせ、住民税特別徴収関係資料、役員報酬の支払い状況がわかる資料などが問題になります。

どの資料が必要になるかは、法人か個人か、役員報酬の有無、社会保険の加入状況、他社兼務の有無などによって変わります。

他社役員や他社勤務がある場合の注意点

常勤役員等の確認で特に注意が必要なのが、他社役員や他社勤務がある場合です。

たとえば、申請会社の代表取締役でありながら、別会社の代表取締役も兼ねている場合。

他社から給与を受けている場合。

別会社で社会保険に加入している場合。

個人事業主として別事業を行っている場合。

このようなケースでは、申請会社に常勤しているといえるかが問題になります。

兼務しているから絶対に認められない、というわけではありません。

他社で常勤しているように見える資料がある場合や、別会社からの報酬が主になっている場合には、事前に都庁担当者に相談するなど慎重に確認する必要があります。

住所が遠い場合の注意点

常勤性では、住所と営業所の距離も問題になることがあります。

常勤役員等の住民票上の住所が、申請する営業所から遠い場合、毎日通勤できるのか、実際に勤務しているのかを確認されることがあります。

東京都で申請する場合でも、住所が都外であること自体が直ちに問題になるわけではありませんが、通勤時間が長すぎる場合や、別の地域で事業を行っているような事情がある場合には、常勤性の説明が必要になることがあります。

常勤役員等として申請する人については、住所、通勤状況、勤務実態を事前に確認しておくと安心です。

健康保険証廃止後の確認資料に注意

以前は、常勤性の確認資料として健康保険被保険者証の写しを準備することがありました。

しかし、健康保険証の廃止により、現在は資格確認書、資格情報のお知らせ、資格取得確認通知書、標準報酬決定通知書など、別の資料で確認する場面が増えています。

そのため、以前と同じ感覚で「健康保険証のコピーを用意すればよい」と考えていると、資料の準備で止まってしまう可能性があります。

また、資格確認書や資格情報のお知らせなどを提出する場合には、記号・番号などをマスキングする必要がある場合もあります。

常勤性確認資料は、申請時点の取扱いに合わせて準備することが大切です。

補佐経験を使う場合はさらに注意

常勤役員等の要件では、一定の場合に、常勤役員等を直接に補佐する者を置く形で要件を満たす方法もあります。

この場合は、単に一人の役員の経験だけで判断するのではなく、財務管理、労務管理、業務運営などに関する補佐体制を確認することになります。

補佐経験を使う場合は、通常の5年経験よりも確認内容が複雑になります。

誰の、どの経験を、どの資料で証明するのかを慎重に整理する必要があります。

申請前に確認しておきたいこと

東京都で建設業許可を新規申請する場合、常勤役員等については、申請前に次の点を確認しておくことが重要です。

  • 常勤役員等になる人は誰か
  • その人に建設業の経営経験があるか
  • 経験期間を証明できる資料があるか
  • 申請会社で常勤していることを証明できるか
  • 他社役員や他社勤務がないか
  • 社会保険や役員報酬の資料に問題がないか
  • 住所と営業所の距離に無理がないか

これらを確認しないまま申請準備を進めると、途中で資料不足が判明し、申請時期が遅れることがあります。

特に、過去の経験資料は、時間が経つほど集めにくくなります。

過去に役員だった会社の登記、許可通知書、工事資料、確定申告書などは、早めに確認しておくことをおすすめします。

まとめ

東京都で建設業許可を申請する場合、常勤役員等の確認は非常に重要です。

常勤役員等については、建設業に関する経営経験があることと、申請会社で常勤していることの両方を確認します。

法人役員としての経験を使う場合は、役員期間だけでなく、その会社が建設業を営んでいたことも資料で確認する必要があります。

個人事業主としての経験を使う場合は、確定申告書、請求書、契約書、入金資料などが重要になります。

また、常勤性については、社会保険関係資料、役員報酬、住所と営業所の距離、他社勤務の有無などを確認します。

常勤役員等は、建設業許可の要件の中でも申請可否に直結する重要なポイントです。

当事務所では、埼玉県・東京都を中心に、建設業許可の新規申請、常勤役員等の要件確認、確認資料の整理に関するご相談を承っています。

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