建設業許可の要件とは?許可を取るために確認すべきポイントをわかりやすく解説
建設業許可を取得したいと考えたとき、多くの方が最初に気になるのは「うちの会社は許可を取れるのか?」という点ではないでしょうか。
建設業許可は、申請書を提出すれば誰でも取得できるものではありません。建設業法で定められた一定の要件を満たしていることを、書類によって証明する必要があります。
特に、初めて建設業許可を申請する会社や個人事業主の方にとっては、「経営業務の管理責任者」「専任技術者」「財産的基礎」など、聞き慣れない言葉が多く、不安に感じることも多いと思います。
この記事では、建設業許可を取得するために必要な主な要件について、できるだけわかりやすく解説します。
なお、国土交通省は、建設業許可を受けるためには建設業法第7条に規定される許可要件を備え、同法第8条の欠格要件に該当しないことが必要と説明しています。
建設業許可が必要になるケース
建設業を営む場合でも、すべての工事について建設業許可が必要になるわけではありません。
原則として、軽微な建設工事のみを請け負う場合には、建設業許可は不要です。関東地方整備局の説明でも、請負代金が500万円未満などの軽微な建設工事のみを請け負う場合を除き、建設業の許可が必要とされています。
一般的には、次のような場合に建設業許可の取得を検討する必要があります。
- 500万円以上の工事を請け負う可能性がある
- 元請会社から建設業許可の取得を求められた
- 今後、大きな工事を受注したい
- 公共工事や入札への参加を検討している
- 会社としての信用力を高めたい
「今は500万円未満の工事しかない」という場合でも、今後の受注拡大を考えると、早めに許可取得の準備をしておくことが重要です。
建設業許可の主な要件
建設業許可を取得するためには、大きく分けて次のようなポイントを確認する必要があります。
- 経営業務の管理を適正に行う能力があること
- 営業所ごとに専任の技術者がいること
- 誠実性があること
- 財産的基礎または金銭的信用があること
- 欠格要件に該当しないこと
- 適切な社会保険に加入していること
ひとつずつ見ていきましょう。
1. 経営業務の管理を適正に行う能力があること
建設業許可で最初の大きなハードルになりやすいのが、いわゆる「経営業務の管理責任者」に関する要件です。
現在の法令上は、「建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有する者」と表現されます。実務上は、今でも「経管」「経営業務の管理責任者」と呼ばれることが多いです。
法人の場合は、常勤役員のうち1人が一定の経験を持っていることが必要です。個人事業主の場合は、本人または支配人について確認します。
代表的な要件としては、建設業に関して5年以上、経営業務の管理責任者としての経験があることが挙げられます。国土交通省も、法人では常勤役員のうち1人、個人では本人または支配人のうち1人が、建設業に関し5年以上の経営業務の管理責任者としての経験を有することなどを要件として示しています。
ここで注意が必要なのは、「経験があります」と口頭で説明するだけでは足りないという点です。
実際の申請では、過去の建設業の経営経験を、登記事項証明書、確定申告書、請負契約書、注文書、請求書、入金資料などの書類で確認されることがあります。
特に、過去に個人事業主として建設業を営んでいた方、家族経営の会社で役員経験がある方、前職で建設会社の役員だった方などは、どの資料で経験を証明できるかを早めに確認しておくことが大切です。
2. 営業所ごとに専任の技術者がいること
次に重要なのが、営業所ごとに専任の技術者を置くことです。
一般には「専任技術者」と呼ばれることが多いですが、近年の制度上は「営業所技術者等」という表現も使われています。国土交通省は、営業所ごとに、許可を受けようとする建設業に関して一定の資格または経験を有した者を専任で設置する必要があると説明しています。
専任技術者になるための代表的なパターンは、次の3つです。
国家資格などを持っている
指定学科を卒業し、一定年数の実務経験がある
許可を受けたい業種について10年以上の実務経験がある
たとえば、電気工事業であれば電気工事士や電気工事施工管理技士、管工事業であれば管工事施工管理技士など、業種に対応する資格が問題になります。
資格がない場合でも、10年以上の実務経験によって専任技術者になれる可能性があります。ただし、この場合も単に「10年以上やっている」という説明だけでは不十分です。
実務経験を証明するためには、過去の工事内容がわかる請求書、注文書、契約書、入金記録などが必要になることがあります。また、その期間中に常勤していたことを確認する資料も問題になります。
特に注意したいのは、「現場経験が長い」ことと「申請上、実務経験を証明できる」ことは別だという点です。実際には十分な経験があっても、書類が残っていないために証明が難しくなるケースがあります。
3. 誠実性があること
建設業許可では、申請者に誠実性があることも求められます。
ここでいう誠実性とは、請負契約の締結や履行に関して、不正または不誠実な行為をするおそれが明らかでないことをいいます。
たとえば、過去に契約に関する重大な不正行為があった場合や、建設業法違反などが問題になっている場合には、審査に影響する可能性があります。
通常の会社運営をしている場合、この要件が大きな問題になることは多くありません。しかし、過去に行政処分、契約トラブル、役員の経歴上の問題などがある場合には、事前に確認しておく必要があります。
4. 財産的基礎または金銭的信用があること
建設業許可を取得するためには、一定の財産的基礎または金銭的信用も必要です。
建設工事は、材料費や外注費、人件費などを先に支払うことも多く、一定の資金力が求められます。そのため、許可申請では会社や個人事業主の財務状況も確認されます。
一般建設業許可の場合、代表的には次のような基準が問題になります。
自己資本が500万円以上ある
500万円以上の資金調達能力がある
直前5年間、許可を受けて継続して営業した実績がある
新規で建設業許可を取得する場合は、自己資本500万円以上、または500万円以上の残高証明書などで確認するケースが多くあります。
ここで注意したいのは、単に売上があるだけでは足りない場合があることです。会社の貸借対照表上の純資産、預金残高、証明書の取得日など、細かい確認が必要になります。
特に、決算直後や大きな支払いの後は、残高証明書の金額が不足してしまうこともあります。申請時期によって結果が変わることもあるため、早めの準備が大切です。
5. 欠格要件に該当しないこと
建設業許可では、一定の欠格要件に該当する場合、許可を受けることができません。
欠格要件とは、簡単にいうと「このような事情がある場合は許可を出せません」という事由です。
たとえば、申請書類に虚偽の記載がある場合、一定の刑罰を受けてから一定期間が経過していない場合、破産手続開始の決定を受けて復権していない場合などが問題になります。
法人の場合は、会社そのものだけでなく、役員等についても確認されます。そのため、代表者だけでなく、取締役などの経歴も確認が必要です。
「昔のことだから関係ないだろう」と自己判断してしまうのは危険です。欠格要件に関わる可能性がある場合には、申請前に専門家へ相談することをおすすめします。
6. 適切な社会保険に加入していること
建設業許可では、適切な社会保険への加入も重要な要件です。
国土交通省は、健康保険・厚生年金保険については適用事業所に該当するすべての営業所で届出をしていること、雇用保険については適用事業の事業所に該当するすべての営業所で届出をしていることを示しています。
法人の場合、原則として健康保険・厚生年金保険の加入が問題になります。従業員を雇用している場合には、雇用保険についても確認が必要です。
また、埼玉県の建設業許可申請・届出の手引きでは、令和8年4月施行の改訂として、健康保険被保険者証の廃止に伴い、常勤確認資料や社会保険適用の確認資料が見直されたことも案内されています。
社会保険の加入状況は、許可申請だけでなく、許可取得後の変更届や更新でも問題になることがあります。未加入や手続き漏れがある場合には、許可申請前に整理しておく必要があります。
許可要件は「満たしているか」だけでなく「証明できるか」が重要
建設業許可の申請でよく問題になるのは、実体としては要件を満たしているのに、それを証明する書類が不足しているケースです。
たとえば、次のような相談は非常に多いです。
- 10年以上現場に出ているが、昔の請求書が残っていない
- 個人事業主時代の確定申告書が一部見つからない
- 前職の会社で役員だったが、どの書類を集めればよいかわからない
- 資格はあるが、どの業種の専任技術者になれるかわからない
- 社会保険の資料として何を出せばよいかわからない
建設業許可では、「経験がある」「資格がある」「資金がある」というだけでなく、それを行政庁が確認できる形で書類で示す必要があります。
そのため、申請前の段階で、要件確認と必要書類の洗い出しを行うことが非常に重要です。
埼玉県・東京都で建設業許可を取りたい方へ
建設業許可の要件は、全国共通の建設業法に基づいていますが、実際にどのような資料を提出するか、どのように経験を確認するかは、申請先や個別事情によって判断が分かれることがあります。
特に、埼玉県や東京都で建設業許可を申請する場合、手引きを確認したり行政庁へ確認を重ね、会社の状況に合わせて資料を準備する必要があります。
建設業許可は、要件を満たしているかどうかの判断だけでなく、どの順番で資料を集めるか、どの業種で申請するか、一般建設業と特定建設業のどちらを目指すかなど、事前の整理がとても大切です。
「自社が建設業許可を取れるのか知りたい」
「元請から許可を取るように言われた」
「専任技術者や経営業務の管理責任者に該当する人がいるかわからない」
「500万円以上の工事を受注する予定がある」
このような場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
当事務所では、埼玉県・東京都を中心に、建設業許可申請のご相談を承っています。建設業許可を取得できる可能性があるか、どのような書類が必要になるかを確認したい方は、お気軽にご相談ください。
まとめ
建設業許可を取得するためには、主に次の要件を確認する必要があります。
- 経営業務の管理を適正に行う能力があること
- 営業所ごとに専任の技術者がいること
- 誠実性があること
- 財産的基礎または金銭的信用があること
- 欠格要件に該当しないこと
- 適切な社会保険に加入していること
建設業許可の申請では、これらの要件を満たしているだけでなく、書類で証明できるかが重要です。
自社で判断が難しい場合や、どの資料を準備すればよいかわからない場合には、申請前に専門家へ相談することで、スムーズに手続きを進めやすくなります。






